不起訴処分を目指す弁護活動
刑事事件の被疑者となってしまった場合、最も望ましい結果の一つが「不起訴処分」です。不起訴となれば、裁判が開かれることはなく、前科が付くこともありません。弁護士は、この不起訴処分を獲得するために、逮捕直後から様々な活動を行います。
1. 不起訴処分とは?
不起訴処分とは、検察官が事件を裁判にかける必要がないと判断し、公訴を提起しない(起訴しない)ことです。不起訴の判断は、主に以下の3つの理由で行われます。
- 嫌疑なし: 犯罪の事実がないことが明らかになった場合。
- 嫌疑不十分: 犯罪の疑いはあるものの、有罪を証明するだけの十分な証拠がない場合。
- 起訴猶予: 犯罪の事実は認められるが、被疑者の反省の度合いや示談の成立、年齢、境遇などを考慮して、あえて起訴しない場合。
特に、示談が成立している場合や、被疑者が深く反省している場合などは、この「起訴猶予」による不起訴を目指すことが重要となります。
2. 不起訴獲得に向けた弁護士の具体的な活動
弁護士は、不起訴処分を獲得するために、以下のような多角的な活動を行います。
被害者との示談交渉
特に被害者がいる事件の場合、示談の成立は不起訴処分に大きな影響を与えます。弁護士が被害者と連絡を取り、被疑者の謝罪の意思を伝え、適切な賠償額について交渉します。弁護士が間に入ることで、被害者の方に安心して交渉に応じていただくことができます。示談が成立すれば、その旨を検察官に伝え、起訴猶予を求める有力な材料とします。
有利な証拠の収集・提出
被疑者にとって有利となる証拠を積極的に収集し、検察官に提出します。たとえば、事件当日のアリバイを示す資料、被疑者の反省を示す書面、ご家族による監督体制を説明する書類などです。これらの証拠は、検察官の起訴・不起訴の判断に影響を与えます。
検察官への意見書提出
弁護士は、被疑者に有利な事情(反省の態度、再犯防止策、示談の成立など)をまとめた意見書を作成し、検察官に提出します。この意見書は、検察官に対して不起訴処分が妥当であることを具体的に説得するための重要な書類です。
取調べへの適切なアドバイス
取調べで不利な供述をしてしまうと、その後の不起訴獲得が難しくなる可能性があります。弁護士は被疑者と接見し、黙秘権の行使や供述の注意点についてアドバイスを行います。これにより、不当な取調べから被疑者を守り、事実に基づいた適切な供述ができるようにサポートします。
3. 早期の相談が重要
不起訴処分を目指す弁護活動は、捜査の初期段階から行うことが非常に重要です。逮捕後、検察官が起訴・不起訴を判断するまでの短い期間に、どれだけ効果的な弁護活動ができるかが結果を左右します。
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